株式会社とみひろ/小林久希さん

株式会社とみひろは創業400年をゆうに超えるという超老舗企業。薬売りをルーツとし、呉服で商いを広げ、現在はさらに草木染、和裁工房、結婚式場、撮影スタジオ、養蚕事業などさまざまに事業を展開。伝統を受け継ぐ企業でありつつ、新しい伝統を創造する革新的な企業なのだ。今回は、東北芸術大学卒業後に同社に入社した小林久希さんに、就職のときに考えたことや学生の皆さんに伝えたいことを伺った。


小林久希(ひさね)さん。東北芸術工科大学美術科(テキスタイルコース)卒業。2020年入社。自身の職場である「とみひろ振袖いちばん館」にて。

インタビュー動画はこちら


Q:山形市内で就職しようと考えた理由を教えて下さい。

小林さん:東北芸術工科大学に通うために、栃木から山形に引っ越しをしてきました。初めて一人暮らしをしたこの山形市は、県庁所在地ではあるけれど都会ほど人の往来がたくさんあるわけではなく、ちょうどいい塩梅の賑やかさで暮らしやすいと感じました。また、ラーメンや蕎麦といった麺類のおいしいお店も多く、それも山形を好きになった理由のひとつです。大学4年間を過ごすうちに山形の魅力にどんどん引き込まれていたので、就職活動をするときには栃木と山形の両方で探していました。

Q:会社を決めるときの「決め手」となったのはなんでしたか。

小林さん:小さい頃から着物に触れ合う機会が多かったこともあり、大学では染織といった着物の技法に関わることを学びました。それで、就職するのなら、自分が学んだ知識を活かせる呉服関連の仕事がしたいと思いました。その中で「とみひろ」の会社説明会を聞いたときに、呉服の販売だけでなく、自社で染織や和裁の工房も持っていて、着物をいちから作っているというところに惹かれました。ほかの呉服屋は、問屋で仕入れた着物を販売する場合が多く、作り手の顔が見えにくいのに対して、とみひろという会社は作る現場と販売する現場が密接していて、とても近い存在であることに魅力を感じたんです。

Q:現在の業務内容を教えて下さい。

小林さん:成人式で着る振袖のトータルサポートを担当しています。お電話でお客様にご案内をして、来店してくださった方とご衣装を選び、前撮り撮影会のときにはどんな写真を撮るかのご相談も受けております。お母さんやお姉さんの着物を着たいという方もいらっしゃって、そのときには寸法合わせや必要な小物が揃っているのかのチェックのお手伝いを。より満足度の高い成人式を迎え、お写真を撮っていただくためにサポートするのが私の仕事です。



株式会社とみひろ代表取締役の冨田浩志さんと。

Q:働いてみて、御社の魅力をどこに感じていますか。

小林さん:着物が好きで呉服業界を目指していたので、常に触れ合える環境というのはすごく楽しいです。とくに振袖は、華やかでかわいいものが多く、気持ちも明るくなります。私が地元を離れて働いていることもあって、気にかけてくださる社員の方が多いのも心強いです。働いている店舗の店長はもちろんですが、先日は、わざわざ他の店舗のスタッフが電話をくださって「困っていることがあると聞いたから」とアドバイスしてくださったんですね。そういった人の温かさも仕事を続けられているひとつだと思っています。

Q:学生のみなさんに就職に関して伝えたいことはなんですか。

小林さん:就職は入ってゴールではなく、入ってからがスタートです。自分がやっていて楽しくない仕事を無理やり続ける必要はないと思いますが、大変なことが多いのが仕事でもあります。その中でひとつでもやりがいを見つけられれば、将来的に違う職場に行ったとしても一生自分の糧として活きていく経験になると思います。

Company Data 社名 株式会社とみひろ
本社所在地  山形県山形市十日町4丁目1-3
代表者  代表取締役 冨田浩志
  創業  天正六年(1578年)
  事業内容 着物の販売とレンタル事業・宝飾品の販売事業・
写真スタジオ事業・ハウスウェディング事業・
地方創生事業・養蚕事業・染織事業・和裁事業・卸業
  社員数  120名
Webサイト https://tomihiro.co.jp/

株式会社とみひろ 経営者インタビューはこちら

photo/ Mikako Ito, text/ Natsumi Nakayama, edit/ Minoru Nasu

関連記事
m_231122_s-1023