株式会社 鈴木製作所/代表取締役社長 鈴木重幸さん
家庭用ロックミシンという世界に先駆けた製品の開発によって、新しいマーケットを開拓したのは1965年のこと。それから半世紀以上たった今もなお「世界初」のものづくりに取り組み、新しい価値を提案し、世界に向けて発信し続けているというクリエイティブ・カンパニーがこの山形市にあります。それが株式会社 鈴木製作所。家庭用ロックミシン「ベビーロック」という世界的に有名なブランドを展開するほか、お菓子や野菜を包装するピロー包装機と呼ばれる機械の開発製造販売においても海外展開している開発型企業です。
ユニークな発想力や企画力、そしてそれを実現化する技術開発力。また総出願件数400件超、世界27ケ国における出願件数250件超という膨大な特許権を有する知的財産の豊富さ。そうした力を蓄えてきた同社はこれまで日本発明振興協会「発明大賞」、経済産業省中小企業庁「元気なモノ作り中小企業300社」をはじめ数々の賞や認定を受けてきた優良企業です。
今回は、代表取締役社長 鈴木重幸さんに、株式会社 鈴木製作所とはどんな会社なのか、そしてどんな人材を求めているのか、お話を伺います。
インタビュー動画はこちら
鈴木製作所とは、どのような会社でしょう。
鈴木社長:ひとつは特殊な「家庭用ロックミシン」、もうひとつはお菓子やお野菜や化粧品などを個包装する「包装機」、そのふたつの製品の開発から製造、販売までを行う開発型のものづくり企業です。家庭用ミシンのほうは、アメリカ、ヨーロッパ、さらには東欧、中東、アフリカへと普及させていこうとしておりますし、包装機については国内はもちろん海外では特に東南アジアを中心にマーケットを拡大しているところです。
弊社で開発している家庭用ロックミシンとは、布の端がほつれないようにする「かがり縫い」や伸縮性のあるニット素材の縫い合わせを得意とする特殊なミシンで、一般的な家庭用ミシンを購入される方が10人いるとするとそのうちこのロックミシンを購入するのはひとりかふたりくらい、というニッチなものです。かつてロックミシンというのは縫製工場などで使用されるような工業用に限られており、家庭用の小さいものは存在しませんでした。それを世界ではじめて世に送り出したのが弊社であり、それが世界に広がって、現在でもその裾野をさらに広げているのです。つい最近も、あらためてその技術が認められ、国立科学博物館の「重要科学技術史資料(未来技術遺産)」に登録認定されました。
学生の皆さんに伝えたい会社としての魅力には、どんな点があるでしょう?
鈴木社長:自分たちのアイデアや発想をかたちにし、お客様の好みに合わせてつくり、それをお届けするというところまでを一貫してこの山形で行っておりますから、その意味では、ものづくりのあらゆることを学ぶことができますし、あらゆる仕事に携わるチャンスも多くあると言えるでしょう。アイデアというのはさまざまな場面で関わるすべての人とのやりとりを経てどんどん磨かれて良いものとなって商品づくりに生かされていくものですが、そうした面白さも感じることができるはずです。ものづくり企業が数多くあるなかでも、特に弊社には、そういった楽しさややりがいがあるのではないでしょうか。
そんな御社はどんな人材を求めていますか。
鈴木社長:ひとつは、どんな小さなことでも本気でやる人です。もうひとつは、誰かから指示を与えられてやるだけではなく自分で考えて行動することができる人です。たとえ今はできなくとも、会社に入ったらそういう人になっていただきたいと思っています。
なにごとも真剣に、どまじめにやる、ということですね。そうすることによって新しい発想や新しい道が生まれてくるものです。ですから、どんなに小さなことであろうと一生懸命にやることがとても大切で、それによってその人自身が育ちますし、そういう人が一人でも多くなれば会社全体が良くなっていくのです。おそらくそれは、たとえば普段の整理整頓とか掃除とか、そういうささやかなことから始まるものでしょう。小さいことに磨きをかける、小さいことを真剣にやることで、その人自身が磨かれ、新しい気づきが生まれ、いろんなことがプラスに作用していく。それは仕事だけでなく、日々の生活や家庭においても同じだと思いますね。
これから先、どんなビジョンを掲げて進んでいくのでしょう。
鈴木社長:お客様が、弊社のミシンを使っていただくことによって生きがいを感じてくださるとか。弊社の包装機を導入していただいたことで仕事がラクになって生産性が上がってお金が稼げるようなるとか。日本の市場にしろ海外の市場にしろ、そういった価値の提供をいかに長く続けることができるか、ということが最も大切なのではないでしょうか。ですから、絶対にお客様を裏切らないものづくりをしていかなければならない。それを続けることによって、当社は生き残ることができるでしょうし、地域に還元することも可能になると思っています。そしてそれが、社員一人ひとりの幸せに繋がっていくのだと思います。
Company Data | 名称 | 株式会社 鈴木製作所 |
---|---|---|
代表者 | 代表取締役社長 鈴木重幸 | |
所在地 | 山形県山形市嶋南1-12-7 | |
会社設立 | 1953年 | |
業務内容及び 取扱商品 |
家庭用ロックミシン baby lock(ベビーロック) |
|
Webサイト | https://suzuki-ss.co.jp/ |
社員インタビューはこちら。
photo & video: Kaho Fuse, Suzuka Sato(strobelight)
text: Minoru Nasu(real local Yamagata)